勉強してる人しか知らないトレーニングと食事の話

筋トレマニアは知っているけど、そうじゃない人は全然しらないトレーニングと食事の話。(※キノコとタケノコの話レベルの宗教論争はあります。あと厳密でない表現もあります。)

  • 部分痩せは存在しない
  • 筋トレしても痩せない
  • PFC(タンパク質/脂質/炭水化物)バランスは大事
  • 摂取カロリーの意識は大事
  • 炭水化物を抜いて体重が減るのは水分が抜けてるだけ
  • 有酸素運動は減量に向かない
  • 有酸素運動をすると筋肉が減る
  • 低負荷高回数のトレーニングは筋トレにならない
  • 休養と食事が大事
  • 筋トレはちゃんとしたフォームで効かせる事が大事
  • オーバーカロリーじゃないと筋肉が付かない

部分痩せは存在しない

「二の腕が気になるから」とか「腹回りが出てきたから」と言って部分痩せしようとしても、そんな事は出来ないです。

運動して脂肪燃焼が起こる時、運動を契機に膵臓からグルカゴンが分泌されて「血流に乗って」各所の脂肪を分解しエネルギーを確保していきます。燃焼しやすい箇所、しにくい箇所はあるでしょうが、意図的に二の腕を優先させるとか、腹回りを優先させるというような事が難しいのは想像出来ると思います。

筋トレしても痩せない

筋肉を鍛える事と脂肪が減らす為に取るべき行動は別です。

筋トレは基本的に高負荷低回数で行う無酸素運動です。これには速筋と言われるパワーが出るけど長時間使えない筋肉が使われ、エネルギー源は筋肉内部に蓄えられたグリコーゲンです。脂肪は使われません。

脂肪をエネルギーにするのは有酸素運動になるので、筋トレで脂肪は直接減りません。ただ、筋肉が付くことで代謝は多少上がるので、間接的には脂肪燃焼は可能です。

PFC(タンパク質/脂質/炭水化物)バランスは大事

3大栄養素(PFC)のバランスは重要です。厚生労働省も年齢や性別で多少幅を持たせつつも目標値をカロリーベースで出しています。

  • タンパク質:30%程度
  • 脂質:20%程度
  • 炭水化物:残り

世の中には炭水化物を極端に減らしたりするダイエットもありますが、身体が活動する為の主たるエネルギーは炭水化物から作られるグリコーゲンです。筋肉を動かすのに使われる以外にも、脳はグリコーゲンが分解されたグルコースしかエネルギーに使えないので、炭水化物減らすと疲れやすくなります。

タンパク質や脂質からグルコースを生成する糖新生という機能があったり、グルコースの代替として使えるケトン体を生成する機構もあるんですが、炭水化物を摂取する時ほど効率的にエネルギーとして使えませんし、素人が何となく炭水化物を減らしすぎるのは健康上危ないものもあります。

そもそも、ボディビルダーをはじめ、世のマッチョ達は炭水化物を十分摂取してます。何ならトレーニング中にグリコーゲンが減ってパワーが出なくなる事を避ける為に、炭水化物100%の飲み物(カーボパウダー)を筋トレ中に飲んでたりする人も沢山います。

僕自身もご飯を大盛りで食べるなど、炭水化物は十分(決めた量)食べてますが、体脂肪率は8%〜10%程度です。

炭水化物を抜かずともダイエット・ボディメイクが出来る以上、わざわざ炭水化物を抜く必要は無いです。

摂取カロリーの意識は大事

一方で、摂取カロリーを意識するのは重要です。

炭水化物を取らなければ脂質やタンパク質を幾ら食べても大丈夫とか思っている人が居ます。実際に炭水化物を取らなくなったら痩せたという人もいるかも知れませんが、多くの場合、炭水化物を減らしたことによる、トータル摂取カロリーの減少が原因と思います。

例えば、野菜って豆類を除いて基本的にほぼ炭水化物です。肉類は逆にほぼタンパク質と脂質なんですが、炭水化物を取ると太るという人は、肉より野菜の方が太りやすいという事を言ってるんですかね。

肉を食べすぎて太った人はいくらでも居ると思いますが、野菜の食べ過ぎで太った人は聞いたことが無いです。

理由は単純で、野菜だけで太るほど沢山食べられないからです。

大根は100gで17kcal程度で、成人男性の平均必要摂取カロリー2,000kcal分摂ろうとすると、大根12kg(=12本)程必要です。参考までに、みんな大好きカルビは100gで500kcal程度。400g摂れば1日分のカロリーです。

炭水化物を抜いて体重が減るのは水分が抜けてるだけ

グリコーゲンは筋肉中に蓄えられる際に水分を一緒に沢山蓄えます。炭水化物を抜くとグリコーゲンが減少することになり、セットで水分が沢山抜けていきます。その為、炭水化物を抜くとすぐに体重が減りますが、水分が抜けているだけです。

有酸素運動は減量に向かない

効果が無いわけでは無いので有酸素運動を否定する話では無いですが、10km走って消費カロリーは700kcal程度です。ただ、これだけ運動すると食欲が湧きやすいとか、そもそも10km走る時間を確保するのが難しいとかで、なかなか効率がよくありません。

ボディビルダーやらボクサーの減量も基本的には食事でコントロールしてます。

有酸素運動をすると筋肉が減る

また、有酸素運動をすると筋肉が減ります。

筋肉は常に合成と分解がされてますが、しっかりと食事を摂ってエネルギー供給してから運動しないと、脂肪だけじゃなくて筋肉も分解してエネルギーに使われることになります。

そういう訳で、10km走ったら700kcal消費するとしても、運動前に十分なエネルギー供給と、運動後も補給をする必要があるので、実際にはより効率が下がります。

もちろん、体重を減らすだけなら筋肉もろとも分解してしまえば効率が良いですが、筋肉が落ちれば代謝が下がるので、もとの生活に戻れば待っているのはリバウンドです。同じ体重だったとしても筋肉が減って脂肪が増えているので、体型は悪くなります。

低負荷高回数のトレーニングは筋トレにならない

僕自身、20年前に筋トレをしていた頃は腕立て100回とか頑張ってましたが、そんなに沢山出来る運動はただの有酸素運動であり、筋トレにはなりません。

短距離走の選手の脚は太いですが、長距離ランナーは細い体つきをしてます。毎日階段の上り下りをすることは健康には良いかも知れませんが、何段上り下りをしても100kgのバーベルスクワットが出来るようにはなりません。

よく、10回3セットが目安と言われますが、筋力に合わせた適切な重量で適切な回数を行う必要があります。

休養と食事が大事

筋肉はトレーニングしているときではなく、休養している時に作られます。そして、筋肉を作る為にはその材料になるものが必要で、食事が重要です。超回復と言って、トレーニング後2、3日は筋肉がよく育つ期間なので、しっかり休めてしっかり食事を摂る必要があります。

その回復期間は傷んだ筋肉が補修されている期間であり、そんな時にトレーニングをしてもパワーが出ずに効果が無いどころか、補修が妨げられます。身体を休めずにやりすぎてしまうとオーバートレーニング状態にもなるので危険です。

また、筋トレをやった直後は筋肉修復の為に免疫力が一時的に下がります。僕も風邪が治った直後に全力でスクワットをやって、思いっきりぶり返した経験がありますが、筋トレ後の免疫力の低下っぷりは凄いです。しっかりと休息することが重要です。

筋トレはちゃんとしたフォームで効かせる事が大事

勢いをつけたり、変なフォームで何回やってもあまり効果はありません。

スクワットをやる時に勢いよくしゃがんだ弾みで立ち上がっても何のトレーニングにもなりません。バーベルスクワットでどんどん重量を重くする人がいますが、お尻が沈み切らず、中腰のような状態で何回繰り返しても効果は薄いです。

「狙った筋肉に効かせる」という意識は筋肉を部分的に鍛えていくウェイトトレーニングの人に多いと思いますが、変なフォームだと怪我をしたり効果が薄いというのは自重トレーニングも同じです。

オーバーカロリーじゃないと筋肉が付かない

痩せながら(≒体重を減らしながら)筋肉をつけるのは困難です。

身体では筋肉や脂肪が生成されるプロセスと、筋肉と脂肪が分解されるプロセスが働いてますが、痩せるというのは生成より分解の方が多いという状態です。摂取カロリーが少なく、エネルギー不足になると筋肉や脂肪を分解してエネルギーにするプロセスが強く働く為、筋トレしても筋肉がついていきません。もちろん、食べ過ぎると余ったエネルギーは脂肪として蓄えられます。

ただ、脂肪を減らしながら筋肉をつける事は出来ます。

体脂肪率が一桁とかになってしまうと、「脂肪を減らしながら筋肉だけつける」ということはほぼ不可能だと思います。なので、ボディビルダーみたいな人は増量期に脂肪もセットで付け、減量期に筋肉をなるべく落とさないように脂肪を減らすような事をやります。でも、普通の人は脂肪を減らしながら筋肉をつける事は可能です。PFCバランスと摂取カロリーを考えて、筋トレと十分な休息を取ればOKです。僕は増量期/減量期は設けてませんが、体脂肪率23%から8%代までいきました。